沖縄県本部町瀬底方言の自然談話

共通語 方言(音声記号) 方言(かな) 音声
沖縄では 昔から 折節(月々)によって 毎月 節句が ありますが だけど 十月 だけは ありません。 ʔutʃinaːuteː ŋkaʃikara ʃitʃiʃitʃini jutti meːʒitʃi ʃitʃibinu ʔaibiːʃiga jaʃiga ʒuːgwatʃibikaːnoː neːjabiraɴ. ^うちなーうてー んかしから しちしちに ゆってぃ めーじち しちびぬ ^あいびーしが やしが じゅーぐゎちびかーのー ねーやびらん.
これは、時間を もてあます 十月と いっています。 kureː ʔatʃihati ʒuːgwatʃindi ʔitʃoːibiːɴ. くれー ^あちはてぃ じゅーぐゎちんでぃ ^いちょーいびーん.
では、 五月は どのような 節句が あるかと いうと まず 五月五日 えー 五月 四日の日 jareː guŋgwatʃeː tʃaːru ʃitʃibiɴu ʔagandi ʔjeː maʒi guŋgwatʃiguɴitʃi eː guŋgwatʃi jukkanu hwiː. やれー ぐんぐゎちぇー ちゃーる しちびぬ ^あがんでぃ ^いぇー まじ ぐんぐゎちぐにち えー ぐんぐゎち ゆっかぬ ふぅぃー.
子供達に(とっては) 大層 うれしい日で あって、 これは 親達から いろいろの 玩具を もらって 遊ぶから  warabintʃaːŋkai ʔippeː ʔwiːrikisaru hwiː jati kureː ʔujanu tʃaːkara ʔiruʔirunu iːrimuɴ iːti ʔaʃibukutu  わらびんちゃーんかい ^いっぺー ^うぃーりきさる ふぅぃー やてぃ くれー ^うやぬ ちゃーから ^いる^いるぬ いーりむん いーてぃ ^あしぶくとぅ 
四日の日は 首里・那覇の 目立つ 通り、 十字路 十字路に 玩具市場が 開かれて にぎやかでした。 jukkanuhwiːja suinaːhwanu miːdaʦuru tuːi kaʒimajaː kaʒimajaːŋkai iːrimummatʃinu tattʃi niʒijaka jaibiːtaɴ. ゆっかぬふぅぃーや すいなーふぁぬ みーだつる とぅーい かじまやー かじまやーんかい いーりむんまちぬ たっち にじやか やいびーたん.
昔の 玩具は 今の 玩具のように 金属で 作ったり 電気仕掛けの ものでは ない。 紙で 作ってある ものが 多かったのでした。 ŋkaʃinu iːrimumoː namanu iːrimunnu gutuʃi kaniʃi tʃukutai deŋkiʃikakinu munoː ʔaraɴ kabiʃi tʃukuteːru munnuru ʔuhusaibiːtaru. んかしぬ いーりむもー なまぬ いーりむんぬ ぐとぅし かにし ちゅくたい でんきしかきぬ むのー ^あらん かびし ちゅくてーる むんぬる ^うふさいびーたる.
馬人形、起き上がり小坊師、バンバター、風車、こまなどが ありました。 tʃontʃoɴʔmmagwaː ʔuttʃirikubusaː (注1) bambataː (注2) kaʒimajaː koːruːndeːnu ʔaibiːtaɴ. ちょんちょん^んまぐゎー ^うっちりくぶさー ばんばたー かじまやー こーるーんでーぬ ^あいびーたん.
女の子供達は ままごと道具 毬、 毬も 蘇鉄の 花 苔のような草(モーグサ)を まるめて 作って  inaguwarabintʃaːja ʔuhurumentaːbaku maːi maːiɴ suːtiːtʃiɴu hana moːgusandeː marumiti tʃukuti  いなぐわらびんちゃーや ^うふるめんたーばく まーい まーいん すーてぃーちぬ はな もーぐさんでー まるみてぃ ちゅくてぃ 
五色 七色の 糸で 巻いて 作ったものでした。 guiru nanairunu ʔituʃi matʃi tʃukuteːrumuɴ jaibiːtaɴ. ぐいる なないるぬ ^いとぅし まち ちゅくてーるむん やいびーたん.
また 四月の日は どこの 家でも ポーポー、チンビンを 作って お供えしました。 mata jukkanuhwiːja maːnu jaːutiɴ poːpoː (注3) tʃimbiɴ (注4) tʃukuti ʔusagijabiːtaɴ. また ゆっかぬふぅぃーや まーぬ やーうてぃん ぽーぽー ちんびん ちゅくてぃ ^うさぎやびーたん.
チンビンは 黒砂糖、 卵の 白味 麦粉 ふくらし粉、 生姜で 作って、  tʃimbinoː kuruʒaːtaː tamagunu ʃirumi muʒinakuː ʔantʃoː soːgaːʃi tʃukuti  ちんびのー くるじゃーたー たまぐぬ しるみ むじなくー ^あんちょー そーがーし ちゅくてぃ 
ポーポーは 麦粉 ふくらし粉 肉 白味噌 砂糖 生姜で 作って  poːpoːja muʒinakuː ʔantʃoː ʔattami ʃirumisu saːtaː soːgaːʃi tʃukuti  ぽーぽーや むじなくー ^あんちょー ^あったみ しるみす さーたー そーがーし ちゅくてぃ 
油味噌を 中に 入れて 巻いたもの でした。 ʔandaɴsuː naːkaŋkai kumiti matʃeːʃi jaibiːtaɴ. ^あんだんすー なーかんかい くみてぃ まちぇーし やいびーたん.
また 四月の日は 海の お祈りでもあって 那覇 泊 久米は 爬龍船も 行なわれました。 mata jukkanuhwiːja ʔuminu ʔunigeːɴjati naːhwa tumai kunindaː haːriːsuːbuɴ ʔukunaːrijabiːtaɴ. また ゆっかぬふぅぃーや ^うみぬ ^うにげーんやてぃ なーふぁ とぅまい くにんだー はーりーすーぶん ^うくなーりやびーたん.
今は 那覇 泊などは 祈願爬龍船 ですが 糸満では 盛大に 爬龍船競争が 行なわれています。 namaː naːhwa tumaindeːja ʔugwambaːriːdu jaibiːʃiga ʔitʃimaɴuteː magimagiːtu haːriːsuːbunu ʔukunaːttoːibiːɴ. なまー なーふぁ とぅまいんでーや ^うぐゎんばーりーどぅ やいびーしが ^いちまんうてー まぎまぎーとぅ はーりーすーぶぬ ^うくなーっとーいびーん.
四月の日は 日が 悪いと言って 子供たちに 玩具を やって 喜こばせて 船乗りは 海も 休んで 祈願を するとの 伝えも あります。 jukkanuhwiːja hwiːnu wassantʃi warabintʃaːkai iːrumuɴ kwiti ʔussaʃimiti hunimutʃeː ʔumiɴ jukuti ʔugwaɴ sundinu tʃiteːɴ ʔaibiːɴ. ゆっかぬふぅぃーや ふぅぃーぬ わっさんち わらびんちゃーかい いーるむん くぃてぃ ^うっさしみてぃ ふにむちぇー ^うみん ゆくてぃ ^うぐゎん すんでぃぬ ちてーん ^あいびーん.
五月五日は アマガシを 作って お供えしました。 guŋgwatʃi gunitʃeː ʔamagaʃi tʃukuti ʔusagijaibiːtaɴ. ぐんぐゎち ぐにちぇー ^あまがし ちゅくてぃ ^うさぎやいびーたん.
これは お箸は 使わないで 菖蒲の葉を 五寸ばかり 切って お箸の かわりに 使いました。 kureː ʔumeːʃeː tʃikaːŋgutu soːbunuhwaː guʃʃimbikaːɴ tʃittʃi ʔumeːʃi gawaini tʃikajabitaɴ. くれー ^うめーしぇー ちかーんぐとぅ そーぶぬふぁー ぐっしんびかーん ちっち ^うめーし がわいに ちかやびたん.
十五日には ウマチー(豊作祭り)がありますが、 二月、 五月、 六月の 十五日に 行なわれます。 ʒuːgunitʃineː ʔumatʃiːnu ʔaibiːʃiga niŋgwatʃi guŋgwatʃi rukugwatʃinu ʒuːgunitʃini ʔukunaːrijabiːɴ. じゅーぐにちねー ^うまちーぬ ^あいびーしが にんぐゎち ぐんぐゎち るくぐゎちぬ じゅーぐにちに ^うくなーりやびーん.
これは 豊作祈願を するといって、 また、門中 集まって ご先祖の ウマチーの ために  kureː hoːsakuʔunigeː sundi mata muntʃuː ʔatʃimati ʔugwaɴsunu ʔumatʃiː tamini  くれー ほーさく^うにげー すんでぃ また むんちゅー ^あちまてぃ ^うぐゎんすぬ ^うまちー たみに 
本家に 集って 門中 親戚 繁盛の 祈願の 祭りであって、 muːtujaːŋkai ʔatʃimati muntʃuː ʔweːkanutʃaː haɴʒoːnu ʔunigeːnu matʃirijati  むーとぅやーんかい ^あちまてぃ むんちゅー ^うぇーかぬちゃー はんじょーぬ ^うにげーぬ まちりやてぃ 
また その他に 正月 五月 九月に 行われる 十八夜は 観音様の 会の 祈願。 mata ʔunu hukani soːgwatʃi gungwatʃi kuŋgwatʃini ʔukunaːriːru ʒuːhatʃijaː kwannunnu kainu ʔunigeː. また ^うぬ ふかに そーぐゎち ぐんぐゎち くんぐゎちに ^うくなーりーる じゅーはちやー くゎんぬんぬ かいぬ ^うにげー.
十八夜には (首里の)観音堂 普天間権現 金武の 観音堂 など 拝んで 家族 元気であるよう お願いを するように なっています。 ʒuːhatʃijaneː kwannundoː hutimmaguɴʒiɴ tʃinnu kwannundoː deː ugadi jaːniɴʒu duːgaɴʒuːsasuru ʔunigeːsurugutu natoːibiːɴ. じゅーはちやねー くゎんぬんどー ふてぃんまぐんじん ちんぬ くゎんぬんどー でー うがでぃ やーにんじゅ どぅーがんじゅーさする ^うにげーするぐとぅ なとーいびーん.
注1 ʔuqcirikubusa: 起き上がり小法師。那覇方言的発音をしている。首里では普通?uqcirikubusi:という。
注2bamNbata: 玩具の名。竹の柄の付いた円形の金属板の両端にひもをつけ、そのひもの先に小さい金属球をとりつけたもの。柄を回してカランカランと鳴らす。
注3 po:po: 料理名。卵をとき水をうめてそれで小麦粉をこねて、油を引いた鉄鍋で平たく焼き、豚肉、白味噌で作った油味噌を中に入れて巻いたもの。
注4 tʃimbiɴ 料理の名。小麦粉を水と卵でこねて黒糖を加え、油を引いた鉄鍋で焼いて巻いたもの。