日本の危機言語

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トル  to[lu  [動]   1  (山梨県奈良田)
(1) とる【取る】。
例文1
サイショニ
[θa]iɕonʲi
テマエノ
tema[e]no
ブニオ
[bu]nʲi[o]
トレ
to[le
「最初に自分の分をとれ」
(2) うばう【奪う】。セシメル(深沢1957: 164)は使わない。フンダクルは聞いたことがあるが使わない(深沢1957: 194は意味は「取る」として「相手の武器をフンダクル」の例文をあげる)。
例文1
ヒトカラ
çito[ka]la
シコ゜トー
[ɕi]ŋotoː
トル
to[lu
「人から仕事をうばう(=とる)」
(3) ぬすむ【盗む】。
例文1
タローカ゜
ta[lo]ːŋa
ヒトノ
çi[to]no
モノー
mono[ː]
トットー
tot[to]ː
「太郎が人のものを盗んだ」
例文2
ヒトノ
[çi̥to]no
モノー
mono[ː]
トッチャー
tot[ʨa]ː
イケノーヨ
i]kenoː[jo]]
「人のものを盗んではいけないよ」
出典
小西いずみ、三樹陽介、吉田雅子(2022)「山梨県奈良田方言調査ノート」
同源語
地点 語形(音韻・音声表記) 音声 語形(仮名表記) ア型/類 意味 出典
類別語彙日琉 tor- トル ⅡB 取る 五十嵐(2016/19)
福井県大野市上打波 toru
トル 0-0 取る 松倉(2023)
福井県大野市上打波 toru
トル 0-0 奪う 松倉(2023)
宮古水納 tui
とぅい c 取る セリック・大浦(2022)
八重山波照間 tu̥ruɴ
とぅるん˥ H 取る。奪う セリック・麻生・中澤(2023)
与那国祖納 tur- とぅるん B 取る。採る。捕る。執る 与那国方言辞典編集委員会(2021)