日本の危機言語

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ぱ]い  pai  [名]   m1  (宮古水納)
(1) (民俗方位の)(みんぞくほういの)みなみ。(しぜんほういの)なんせい【南。(自然方位の)南西】。
備考 自然方位の南ではなく、約45度西の方にずれている民俗方位の南を指す。水納島村を通る道はちょうど民俗方位の南北の軸に当たる。沖縄の〈ぱい〉は一般的に「南」と訳されているが、民俗方位の南を指しているので、注意が必要である。他の方位についても同様である。当然ながら、水納島の地名も民俗方位で命名されているので、例えば最も北の方に位置している〈いりびし〉が〈いり〉「西」と形容されるわけである(本書の冒頭の地図を参照)。ちなみに、自然方位は干支を使った方角で表す。なお、〈ぱい〉「南」は単独でc型のアクセントを示しているが、複合語の前部要素になると、b型に転じる(多良間仲筋方言も同じ)
アクセント資料
(1)
ぱいか]らまい
pai]karamai
X=kara=mai
ふきどぅ[すー
fuxkidu[sI:
...
(2)
ぱ]]いまい
pa]]imai
X=mai
あらん
araN
...
(3)
うれー
ure:
X=mai
ん]め
m]me
...
ぱい[まい
pai[mai
あらん
araN
出典
セリック・ケナン、大浦辰夫(2022)『みんなふつ語彙集』国立国語研究所みんなふつ語彙集. http://doi.org/10.15084/00003679
同源語
地点 語形(音韻・音声表記) 音声 語形(仮名表記) ア型/類 意味 出典
類別語彙日琉 pae ハエ 3B 南。南風/映え 五十嵐(2016/19)
喜界荒木 [he]ː
ヘー 木部暢子・小川晋史(2013)
喜界阿伝 [ɸe]ː
フェー 木部暢子・小川晋史(2013)
喜界小野津 pˠe[ː
プゥェー 木部暢子・小川晋史(2013)
喜界上嘉鉄 [he]ː
ヘー 小川(2013)
沖永良部島上平川 he[ː
へー 横山(2017)
沖永良部島国頭 [he][ː
へー 横山(2017)
与論東区 pe[ː
ぺー 木部(2015)
沖縄伊平屋村田名 ɸeː
ふぇー カルリノ(2018)
宮古池間西原 ha]i
はい 林・セリック(2018)
宮古砂川 pai
ぱい セリック(2018)
八重山川平 pai
ぱい セリック他(2021)
八重山波照間 peː
ぺー˥ H 南。南方 セリック・麻生・中澤(2023)
与那国祖納 hai はい B 与那国方言辞典編集委員会(2021)